2024.02.19

【墓じまい】とは?③

長引く不況により、人が亡くなったときに使える余剰資金がほとんどない家庭が増えたにもかかわらず、寺の世界は昭和の頃の経済感覚のまま、通夜・葬儀での読経のお布施は「一読み30万円」などと言われる地域が多く残っていました。

経済成長とともに人々は平日多忙となり、多くの地域では、寺の檀家総代になるなどお寺と深くかかわるのは、お寺で利権を得ている人々が中心となっていきました。お寺の側も、そのほうが住職の一存で何事も決められるので、利権の絡まない一般市民へ門戸を広げる努力などあまり積極的にしてきませんでした。

旧来の檀家は遠方へ行ってしまってるのに、門戸が広げられていないので、近隣に新たに引っ越してきた市民は寺との縁を持てず、新聞折込などで民間霊園の墓地を購入するしかありませんでした。

その結果、寺は、生きているときに相談できる場所ではなくなり、「通夜・葬儀と法事の時にお金を払って読経をしてもらうところ」となってしまいました。

生きているときに何の相談もできず、信頼関係も信心も育っていないのに、通夜・葬儀で高額の出費を余儀なくされ、その後も回忌法要でまとまった金額を〝取られ続ける〟やっかいな場所。伝統仏教寺院に先祖代々の墓(イエ墓)を持っていた多くの人が、そのように感じるようになってしまったわけです。以上が、「寺離れ」「墓じまい」が急増するにいたった宗教面の背景です。