2024.02.13

【墓じまい】とは?②

人々の帰属先がイエから企業へと移り変わったことは、いわゆる「寺離れ」の原因をつくることにもつながりました。

戦後すぐの頃、お寺の檀家といえば、みな寺の近隣に住んでいました。ところが、多くの人が転勤や移動で都市部に移っていくと、世代交代とともに寺の檀家は車で数時間、または一泊しないとたどり着けないようになりました。

それでも昭和の頃は、お寺はさして努力をしなくても楽に運営できていました。

ところがその後、四半世紀にわたる平成のデフレがやってきました。それと同時に、医療の進歩で平均寿命は右肩上がりに伸び(しかし、介護を必要としない健康寿命が伸びたわけでなく)長期にわたる介護や認知症との闘いの時代が訪れました。

誰かが高齢で亡くなった場合、介護や治療で預貯金は底をついているケースが急増。昭和の頃は、葬儀費用は心配しなくても「香典でなんとかまかなえる」と言われましたが、デフレの影響で香典の額も激減。会葬者に苦労をかけたくないからと、返礼品を用意しない代わりにお香典も受け取らないスタイルを選択する遺族も増えました。2010年頃から都市部では通夜・葬儀をしないでご遺体を火葬場へ直接搬送する「直葬」が増え、地方にも徐々に広まりつつあります。

今は都市部で3割近くが直葬と言われます。直葬でない場合でも多くは家族葬で10〜30人規模の小さな葬儀を選択しています。この十年余りで、葬儀の形態は激変したのです。これが、墓じまい急増の社会的背景です。  ・・・続く・・・